マイ路線(134)

私には思い入れのある道路や電車の路線がありますが、みなさんのマイ路線はなんですか?教えてください。
(中略)
好きな道路や路線について話すということは、きっと自分の大事なものについて話すのと同じことなんだろうと気づきました。

http://d.hatena.ne.jp/azakeri/20100215/p1

ここ数週間、さて人生の後半をどうすべきか、みたいなことをちょこちょこ考えていて、自分というものに全然関心が向けられていないことに気づきました。自分が嫌いとか空虚だとか、そういう類いではなくて、単純に関心がない。自分なのに。思えばどういう服が好きか、どういう色が好きか、どういう食べ物が好みか、昔に比べて断然思いをめぐらす時間が減りました。ゼロといっても過言ではない。とりあえず社会的におかしくない格好をして、それなりに健康が維持できるものを食べて、たまに衝動の赴くままにお菓子を食べて。それはそれで限られた時間でしなければならないことをこなしていくにはいいけれど、例えばいろんな屋台が出ているお祭りに行ったのに、いったい自分は何が食べたいのかわからないまま、とりあえず形式上お祭りを楽しむためだけに値段とお腹のすき具合を比べて無難な何かを買って、とりあえずお祭り楽しかったね、で終わってしまうことを繰り返しているようなのです。ちょっと前まではそれでも納得していた。でもああこれじゃだめなのだ、たぶんこのままだと何もかもよくわからないままお墓に入ることになるのだ、という気がして、ちょっと前からどうしていくべきか少しずつ頭の中に思い描くように心がけています。まだまだ修行が足りませんが。

前段が長い。

で、前段のような「私はいったい何が食べたいのだ」「私はいったい何が好きなのだ」を再確認するくせをつけていて(物事を決めるのにちょっとだけ時間が余計にかかってしまうけど、そもそも優柔不断でそのくせろくに考えずにええいこれ!と決めることが多い私にはちょうどよいのでしょう)、その中でちょっと反応したい内容を見つけたのでこういうことこそ書いていかねばならぬと思いました。

ここから本題

マイ路線。(元)鎌倉市民としては国道134号線は押さえておかねばなるまい。相模湾沿いをずっと続く海に面した道路です。夏にラジオの交通情報を聴くと必ずといっていいほど渋滞になっている道です。江ノ電の腰越〜鎌倉高校前〜七里ガ浜間とは並走し、アニメ「スラムダンク」のOPで登場する海と踏切が見えるシーン(「日坂」ですね)をはじめ、各種映画やテレビなどでよく見るあれです。書いてていろんなのが思い浮かぶので説明が適当になってすみません。

有名すぎる道路であるが故に、シーズンを問わず海水浴・サーフィン・観光のために車が集まってきます。申し訳ない、申し訳ないけれど個人的には大迷惑でした。藤沢駅から海沿いを回ってまた藤沢市に帰ってくる循環バスは必ずといっていいほど134号線で渋滞に巻き込まれてひたすら遅れ、134号線へと続く県道304号腰越大船線(今調べた)は抜け道として利用されてさらに混むし、地元だからと見に行く花火大会でも車とバイクと人で埋まって身動きできなくなったし、なんだか「使えない道路」としての印象が強いのでした。

しかし。17歳で原付の免許をとった私が一番簡易ドライブに選んだ道もまた134号線なのでした。先述の県道304号線を海へ向かっていって左折するか、もしくは駅名じゃない鎌倉高校の前に向かうべく左折して日坂を下りて合流するかのどちらかで海沿いに出て、左手に江ノ電、右手に海岸線、奥には海岸に沿った建物の灯りとテールランプを眺めながらぶーんと走るのが割と好きでした。テールランプとか言っているくらいなのでだいたい夜です。夏は涼みに行く意味もあったなそういえば。滑川の交差点より先まで行ったかどうか記憶にないです。どこかで引き返してきたはず。

さらに記憶を遡ると、父親の運転する車に乗せてもらってちょっとしたドライブをしたとか、市営プールに行きたくて自転車こいで行ったのに見つけられなくて帰ってきたとか、七里ヶ浜にある知人に英語を教えてもらっていた頃の行き帰りに少しだけ遊んだとか、鎌倉市のことばかり出てきた挙げ句、道路沿いの「珊瑚礁」というお店には罪はないのに近づきたくないとか、中学高校大学のすべてにまつわる思い出とかが出てきて、134号線とはかけ離れていくので以下略。実際の134号線はもっともっと長いのに。

小学生の頃、「海から見る郷土見学」と題して腰越港から船に乗せてもらう機会があり、海から初めて道路を眺めたのもいい思い出です。

観光でやってくる人たちにはわからない、生活に密着した思い出がたくさんあるんだぞ!と見知らぬ誰かに胸を張りたい一方、観光客あってこその"湘南”(この言葉は気分的にはあまり使いたくないのですが)であるのは事実で、ちょっとだけひねくれた気分も持ち合わせています。

今は物理的には遠く離れてしまいましたが、江ノ島に各局の情報カメラがあるおかげで、冬にサーフィンにやってくる素っ頓狂な人々を相変わらず「寒いのによくやるね」なんて言ったり、夏は夏で海の家ができはじめて「ああそろそろ夏だね」、8月15日を過ぎて「くらげが出てくるからもう海には入れないね」と毎年言っていたのを思い出したり、意外とよく見かける道路だったりします。

県道304号は大船から腰越を結ぶ道路なんですが、夏と冬はバイクの集団のエンジン音が夜に鳴り響いているのがよく聞こえます。寝ていてその音が聞こえるとこれまた「あーそろそろ夏が…」と思う風物詩。134号線とは常にセットの道路です。