現実入門

現実入門

現実入門

やられたー、これは買ってから読むべきだった、と思った本。新宿の紀伊国屋書店で立ち読みして後悔した。

一時期流行った「人生の経験値」の作者なんだそうで、今まで経験してこなかった「現実」「生活」を42歳にして体験していく、という内容。自分も「現実」「生活」を直視しない(したくないのではなく、気づくとしないでいる)生き方をしていると思っているので、お、仲間だ、と思いつつ体験エッセイの感覚で読み始めた。そして実際、大方は独特の文体で綴られてはいるものの、そういう感じだった。いつも立ち読みするように、ところどころ飛ばしながら読んでいた。
……が、ラストの項目を読んで、まずぽかーん。慌てて直前の項目から読み返して、「してやられた!」感がじわじわとこみ上げてくる。本当に見事な幕切れ。なんともいえない、だまされたようなあるべきところに収まったような、微妙な幸福感。

ここまで感服しても買わなかったのは、最近ものすごくお金を使っているから。しばらく緊縮財政にしなければ……。でも数ヶ月したら買うと思う。