YAPC::Hakodate 2024にスタッフとして参加して(参加ブログは別途書きます)、一段落ついたところで、突然私の人生に「凪」がやってきた。
いつもある焦燥感がない、脳内が静かでうるさくない、誰も(脳内の話)私のことを責めたりしない。
おかしい。
私は「好きな言葉」として以下の3つを代わる代わる挙げることが多かった。
- 人生楽ありゃ苦もあるさ
- 人間万事塞翁が馬
- 禍福はあざなえる縄のごとし
良いこともあれば悪いこともある。そう信じて、良いことがあっても「調子に乗るまい」「いずれまた悪い時期が来る」と自らを戒めたし、つらい時があったら「いつか良くなる」と信じて乗り越えてきた。
その心境が今はない。生きている上で課題はもちろんいろいろあるが、「課題だな」と思うだけで、常に頭から離れないということはない。
突然訪れた「凪」を楽しんでいてもいいのだな、と思うようにしてから、なんでこうなったのかちょっと考えた。
1. 暑くなくなった
今年の夏はとても暑かったし、去年の夏も暑かった(去年は8月、暑さのあまり外に出られなくなった)。それが落ち着いて、気候がよくなった。涼しいというのはいいことだ。すぐ寒くなると思うけど。
2. 髪の毛が暴発しなくなった
諸事情あり朝シャン派の私は、朝に髪の毛をドライヤーで乾かすのが本当に苦痛で、乾かすそばから暑さで汗を大量にかいて結局髪が湿るわ湿気でぼさぼさになるわで、ものすごくつらかった。それが涼しくなって髪を乾かす時間が減り、ストレートアイロンを使う時間も減って、髪の毛を扱いやすくなった。髪の扱いが落ち着くだけでストレスが激減した。
3. お風呂に入るのがいやじゃなくなった
社会性を保つためにちゃんとシャワーを浴びてはいるものの、先述の通り暑かったので、髪を洗うのも体を洗うのもタオルで拭くのも、噴き出す汗で不快な時間となっていた。気候が落ち着いたので苦痛度合いがかなり減った。
4. メイクの時間がいやじゃなくなった
先述の通り暑かったので汗が噴き出して以下略。それに加え、皮脂のべたつきやテカりなどもおさえられて顔面のストレスが減った。また、先日でかいスーパーのデパコス(矛盾)カウンターで年齢に合った化粧品を選んでもらったこともあり、メイクに対する迷いがかなり減った。
5. 食べるものが落ち着いた
生きていく上の課題として、体脂肪率が高く、BMIで見ると「肥満」である。解消しなければならない。その状態自体は好ましくはないものだが、1日の摂取カロリーを抑える必要が出てきたので、食べるものを選ぶ基準が自然と定まった。選択に伴う焦りが消えた。
6. 健康を目指せるようになった
「良い状態が来ると、その次にやってくる悪い状態を心配する」ことがなくなったことで、長期的な健康を目指せるようになった(にわとりたまご問題だけど)。今が良ければいいや、という刹那的な考え方をする頻度が減った。
7. お金との付き合い方が変わった
私にはやや買い物依存気味なところがあって、Amazonや楽天でポチポチネットショッピングをする時や、書店で好きな本をたくさん買ってしまう時などに快感を得ることが多かった。もちろん欲しいものを厳選しているので(一応……)有用だしQOLもアップするのだが、どうしても持ち金は減る。そりゃそうだ。
さらに面倒なことに、貧困恐怖が発生しがちで、その割には金を使うので、精神衛生上非常によろしくない。
50歳を目前にして、「あ、もうそろそろものを増やしている場合ではなくなってきた」と思う場面が増えた。その結果、余計なものを買うことがかなり減って、買い物でメンタルの何かを満たす回数も減った。強制的に収入の一部を投資信託に回すなどして、「手持ちのトータル金額が増える」ことの楽しさを覚えた。結果として、貧困恐怖が訪れることも減った。
8. むやみやたらに「誰か」と自分を比較することが減った
例えば、(リンクを貼るとそーだいさんにidコールが行ってしまうのですが許してください!!)
こういうエントリーを見たとする(すごく良い記事でしたね)。私は書き手であるそーだいさんを知っているのでちょっと適切な例ではないかもしれないけど、こういった時に「これから40代を迎える人がこんなにすごいことを考えているのに、私はもうだいぶ年を重ねてしまったのでもうだめだ」(論理の飛躍)などと考えることが多かった。特にミッドライフクライシスの時期(40代の頭~半ば)はだいぶしんどかった。全然関係ない人と自分を比べては「もう遅い」「自分には無理だ」と思っていた。
それがいつの頃からか――たぶん、昨年の夏に子宮の摘出手術を受けてから顕著になったんだと思うけど――真の意味で「自分は自分、ひとはひと」と考えられるようになった。自分と同じような人生を歩む人はいない、つまり他の人の人生を真似ることも難しい。はよ気づけよ、って感じですが、わかっていてもなかなか腑に落ちるところまでいかないものなのです。
9. 生理がなくなった
1つ前に書いた通り、子宮の摘出手術を受けているので、人工的に閉経が訪れた。幸い更年期障害らしい症状はホットフラッシュくらいで、それ以外はいいことばかりだ。偏頭痛が減り、子宮と大腸が癒着していたことによる便秘が解消し、腹痛が減り(痛むところがなくなったのでそれはそう)、1ヶ月のうち半分くらい体調がよくなかったのが1ヶ月丸ごと同じ体調で推移するようになり、遠出や旅行の時に生理関係の心配をすることがなくなり、結果としてあちこち出かけられるようになった。バイクに乗れるタイミングも増えた。個人差がひっっっじょうに大きいし、年代によっても家族構成によっても大きく異なるところではあるが、私は生理がなくなって心からよかったと思っている。
まとめ
突然訪れた平穏に対して、「きっとまた悪いことが起きる」ではなく、その状況でできることを楽しめばいいということがやっとわかってきた。人生今が一番若いという言葉もストレートに受け止めることができるようになってきた(昔は「詭弁じゃん」なんて斜に構えていた)。年齢的にできないこともあるけど、できることもたくさんあるので、凪ってありがたいなー、と思いながら過ごそうと思う。