湯ぶねに落ちた猫/……絶句(上/下)

湯ぶねに落ちた猫 (ちくま文庫)

湯ぶねに落ちた猫 (ちくま文庫)

2006年に亡くなった吉行理恵さんのエッセイや小説をまとめたもの。朝の連ドラ「あぐり」を見ていた頃に、お兄さんの淳之介さんやお姉さんの和子さんについてはいろいろ調べられるものの、理恵さんについてはさっぱりよくわからなくてそのうち放置してしまったことがありました。大変内向的な人だということなので文章合わなかったらどうしようかと思ったけど、ぱらぱら読んでみたら割と「あーわかる(非コミュ的に)」という感じだったので買ってみました。身内から見る淳之介さんと母・あぐりさんはまた違う雰囲気なんだなぁ。

…絶句〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

…絶句〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

…絶句〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

…絶句〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

新装版を買うかどうか迷って見送ってましたが(実家に元のがある)、棚にあったのをぱらぱらと見て、あー懐かしいこういう展開だったねーとか思いながらラストの方を読んで(ストーリー全部知ってるし)いたら、もとちゃんが眠るシーン(新装版の場合ネタバレってどこまでしていいんだろう)で突然泣けてびっくり。いろいろやりきれない展開もあるわけですよ(ネタバレ……?)。細かいところは読み返さないと思い出さないのに、一郎さんのせりふで予期せずいろいろ一気に思い出して。今ならライオンさんが岩波の国語辞典にこだわる気持ちがわかる気がするよ(これはネタバレ……かな……)。やっぱり手元にほしいなぁ、と思って上下一緒に買っちゃいました。

しかしまあ私の人格形成には新井素子作品が大きく関わっていることよ。「星へ行く船」シリーズが鉄板だった(あゆみちゃんの視点で太一郎さんやレイディや所長や麻子さんを見ていた)けど、「……絶句」はなんというか、多様性というか、世の中いろんな人がいたり無力だったりでもがんばれたりするんだなーというか、いろんなことがごちゃまぜになった世界を一気に見たという感じだった。ストーリー展開が好きな訳じゃない。むしろ壮大すぎて途中でわからなくなったりする。ラストも「えーそれー」みたいになる(いいんだけど)。それでも全部ひっくるめて絶句だよなーというか。「ひとめあなたに…」(地元が出てくる)、「あなたにここにいてほしい」(登場人物と名前が同じだったので思い入れひとしお)、「おしまいの日」(初めてサイコホラー読んでgkbr)、あたりも影響された。ぬいぐるみ関係はほとんど読んでないのにな。

(絶句の前の点は5つなのは承知しておりますが、3点リーダと2点リーダを混ぜるのも変だしなかぐろ5つはもっといやなので、便宜上3点リーダ×2としました)