インパクト年内で引退…携帯で通告

「けさ(11日)の調教後、オーナー(金子真人氏)に“元気も良く、無事に調教が終わりました”と(携帯)電話で連絡をした際、突然引退の話が出て…。ディープは今年限りで引退して、来年から種牡馬になると…。ショックでした」と語った上でこう続けた。「遅かれ早かれ、種牡馬になることは分かっていましたが、凱旋門賞が終わったばかりで突然報告を受けて…。厩舎スタッフ、みんな寂しい思いをしていたようです」

 言葉は震えていた。金子オーナーとの間でこれまで引退の話はいっさいなかったという。1日の凱旋門賞3着後、同師は「来年も再挑戦したい」と闘志を燃やしていた。それが突然の引退、種牡馬入り。「こういう馬には2度とめぐり合うことはないでしょう。もし、再びこんな馬が手元に来たら、神を信じます」。池江郎師は心の整理がつかないのか、視線を落としたまま続けた。

うまいこと言葉が見つかりません。確かに金儲け(言い方は悪いですが、より走ってより賞金を稼ぐ馬を生産するのも目的ですから)としては、故障のないうちに、凱旋門賞の余韻があるうちに、そして負けを重ねないうちに種牡馬にした方がいいのはわかっているのですが、それにしてもなんと後味の悪い幕切れでしょう。「2度とめぐり合うことはない」という言葉が本当に重いです。

関内関外日記(id:goldhead:20061012#p1)より

やはり、この引退発表にいたるプロセスが大失敗だったということだ。ハルウララを強奪した安西美穂子ではないが、そういう印象を少なからず世間に与えてしまっているように思える。その結果、上の見出しのように、現場スタッフを軽んじた、非情な引退に見えてしまう。これは競馬のイメージダウンにすら繋がりかねない。

ちゃんと事前にスタッフに話を通して、あるいは、年内引退なら年内引退で競馬会も巻き込んで、ずらっとチーム・ディープインパクト(という言葉は少し赤面しながら使っています)を段上に並べて、「この馬の血を無事残すのが使命」、「夢は子どもたちに託したい」などと武豊や調教師の口からも言わせるべきだったのだ。

秋の天皇賞ジャパンカップ有馬記念でディープを応援する気が失せてしまったのは確かだなぁ。池江調教師も武豊騎手も当のディープも何も悪くないのに、もういなくなるんだったらハーツクライメイショウサムソンに頑張ってほしいという気分に。そしてそれとは別に、ついつい頭をよぎってしまうホクトベガの悲運。どうせ種牡馬になってしまうのなら、もう着順なんてどうでもいいから、とにかく無事に走りきってきちんと子供たちを活躍させてほしいと思ってしまいます。ディープは本当に何も悪くないのになぁ。なんだこのもやもやした気持ち。