ちょっとした(謎の)思い出。

もしかしたら以前どこかに書いたことがあるかも、と思うのですが、とりあえず書きます。

それはまだインターネットも何もなかった頃。私はとある雑誌にふらりとCHA-CHAに関する質問のはがきを出しました。あ、雑誌ってじゃまーるじゃないですよ。懐かしいなじゃまーる。一度使ったことあったな。それはともかく、本題は無事に解決しました。

掲載された私のプロフィール(といっても、住所・名前・年令・性別くらいなんですけどね。昔はおおらかだったなぁ)を見て、とある人が手紙をくれました。自分の周辺にはCHA-CHAファンがいなくて寂しいからペンフレンドになってくれませんか、という同い年の女性からの手紙でした。私はこれも何かのご縁だと思い、承諾の挨拶と簡単な自己紹介を書いた手紙を送りました。

手紙のやり取りが始まるか始まらないかのうちに、先方から電話がかかってきました。今となっては順番は忘れてしまいましたが、2度目の往復があったかなかったかくらいだったと思います。電話でも話したいというその人は、なぜか非常に無口で、場がつなげなくて困った私はとにかくひたすらべらべらとしゃべっていた覚えがあります。そして、CHA-CHAのファンだということがきっかけのはずなのに、CHA-CHAの話で盛り上がったことは一度もありませんでした。

その電話は4、5回続いた気がします。先方からかかってきて、私がしゃべりまくって、終わり。私はその人と電話で話すことが本当に苦痛になってきました。私が黙ったらどうなるんだろうと思って黙ってみたことがあります。無言の時間が10分以上続いただけでした。

お互いのバックグラウンドをほとんど知らないから当然なのですが、私の都合が悪い時(とは言っても、せいぜい宿題があるとか見たいテレビがあるとか)に電話がかかってくることもあったので、「手紙でやりとりしようというのが最初のきっかけだったから、今後は手紙にさせてほしい」と申し入れました。先方は快く?承諾してくれました。が、その何日か後には電話がかかってきました。

私はとうとう、電話がきても「今忙しいから」と言ってすぐに電話を切るようになりました。電話は次第になくなり、私はほっとすると同時に、だんだんと彼女のことを忘れていきました。

その次の年、彼女から年賀状がきました。年賀はがきではなく官製はがきに鉛筆書きで「今年もなかよくしてね」と書かれたものでした。返事は出しませんでした。

確かその後、1度くらい電話があった気がしますが、詳細は忘れました。やりとりが復活することはなく、彼女から来た2、3通の手紙と年賀状は処分してしまいました。

大人になってから何度かこのことを思い出しましたが、彼女がいったい何をしたかったのか、さっぱりわかりません。彼女にまつわる情報は、住所の都道府県と郡だけしか覚えていません。が、とにかく無言の人に向かって話題をつくってしゃべり続けることのつらさ、お互いに黙ったまま10分ほど経過する電話のむなしさは、今でもはっきりと覚えています。