アテネ砲丸投げ代表の森千夏さん死去

アテネ五輪の陸上女子砲丸投げ代表で日本記録保持者の森千夏(もり・ちなつ)さん(東京高ク)が9日午前10時35分、東京・文京区の順天堂病院で虫垂がんのため亡くなった。26歳の若さだった。森さんはアテネ五輪前から不調を訴えながらも競技を続け、05年4月にがんが発覚後は病と闘いながら12年ロンドン五輪出場を夢見ていたが、復帰はかなわなかった。

アテネ五輪が終わった頃(追記:症状や公表のタイミングからするとおそらく結構最近のことでした、すみません)に、調べ物をしていてたまたま森千夏選手のことを知りました。まだ若くて将来を嘱望されていた選手がなぜ、となんとなくずっと引っかかっていました。今朝のテレビ番組で亡くなったと知り、残念でなりません。

そして、私が好きなエッセイストの岸本葉子さんがかかったのも同じ虫垂がん。岸本さんは手術を受け、再発と戦いつつも仕事に復帰していますが、あまり聞きなれない「虫垂がん」という病名でとっさに連想したのは岸本さんのことです。著書「がんから始まる」で、冷静な文章でがんとの闘病やその後の生活を綴っていますが、冷静な視点の端々に向き合っている現実の迫力が窺えました。その時のインパクトが、森選手のニュースを通じてぱっと甦り、言葉ではうまく表せない複雑な気分になりました。生と死を私ごときが記すのは分不相応かもしれない、でも言語化できないのは本当にもどかしい。

がんから始まる

がんから始まる