万博雑感

思えばこの写真に映り込ませたミャクミャクのガチャガチャを、気まぐれに買ったのが、すべての始まりだった気がする。どこで買ったかもう覚えていない。大阪のどこか、くらいの記憶だ。

8月初旬に東ゲートから入って大屋根リングを見上げて、その魅力にすっかり魅了された私は、閉幕日の10月13日まで通算16回、東京から夢洲へと向かった。

それなりに金も体力も気力も使い、「万博のせいで仕事に穴をあけた」という事態だけは避けたくて健康管理にめちゃくちゃ気を遣い、通った。計画通り行けた時も、行けない時もあった。欲しいものが手に入った時も入らなかった時もあった。自分の気分のネガティブさを「万博のせい」にしたくなくて、全部ポジティブに変換して乗り切った。

万博は夢のような世界だった。すべてが面白かった。トラブルでさえも楽しめた。何しろ全貌をつかむなんてことができないくらい、毎日いろいろなところでいろいろな出来事が起きているのだ。知らないイベント、行けなかったパビリオン、たくさんたくさんあった。

10月14日に切り替わった瞬間、「万博ロス」になるのかな、なんて考えていたけど、杞憂に終わった。すべてがnullになると落合陽一さんは言った。でもゼロではなくて、また新しいものが始まり、夢のような世界は現実につながっている。パレスチナの展示を見た日と、閉幕日のガザに関するニュース。夢の向こう側には常に現実があり、さらにその向こう側に、別の夢が広がるのだ。

世界は、理想とか理念とか関係なくつながっていて、その先に人々の生活も文化も宗教も美術も技術も医療も教育もある。そんな当たり前のことを、50年生きていて、大阪・関西万博というでかいたらいが上から落ちてきて、その衝撃で目が覚めて、認識した。

万博は終わったけど、その先の世界はまだ続いていく。